もちろん、国の年金は基本的に賦課方式なため給付削減や出生率改善などの努力は必要ですが、政治的な反発が比較的弱く実行に移しやすい、(1)リスクをとって株式で運用しリターンを高めることを実施しても良いのではないでしょうか。この現実的思考プロセスを国民がしっかり理解すれば、そのリターンを取るためにはどうすればいいのか、という建設的な議論ができるのではないかと思います。

海外年金はすでに資産運用の高度化に着手

 例えば、米国、カナダ、そして欧州の一部の国では、年金運用のリスクを抑制しつつリターンを獲得するために運用管理の高度化を実施しています。高度化とは例えば、資産クラスで管理するのをやめて各資産の背後にあるリスク要因で管理する方法や、「平均分散アプローチ」という広く普及しているものの欠点の多い手法からの脱却などを実践しています。日本でも一部の先進的な企業年金はすでに導入している手法であり、一考に価するのではないかと思います。

 資産運用が以前よりは国民に広がりつつある今、個人的にはGPIFにリスクをとった運用をさせないようにするのではなく、リスクをとる前提でどのようにやれば上手くいくのかを議論すべきタイミングのように思います。皆さんも5年に1回の財政再計算のタイミングを機に、将来の国の年金について思いを巡らせてみてはいかがでしょうか?

今回の川柳
将来に 思いを巡らす 再計算

(アライアンス・バーンスタイン株式会社 AB未来総研 所長 後藤順一郎)

※本記事中の発言は筆者の個人的な見解であり、筆者が所属するアライアンス・バーンスタイン株式会社の見解ではありません。