空調、壁、教会…
なんもしない人の存在感は?

 そんな彼の存在を、依頼者はそれぞれの捉え方で位置づけている。『空調』『壁』『王様の耳はロバの耳』『教会』『ざんげ室』…ときには『ただのこじき』『新手のヒモ』などマイナスな意見を目にすることもあるが、本人はさほど気にしていない。

「とある番組で、ふかわりょうさんに『面白い船の集まる港』と言ってもらえたのはうれしかった。でも各々が求める解釈があって、そのどれもが依頼者にとっての正解ですから、解釈や肩書はなんでもいいんですよ。僕は必然的に彼らが求める解釈として提供されるだけなので…」

 サービス開始から1年。今後どのような道を歩むつもりなのか。

「特に何も考えてないです。いまは毎日が楽しすぎて、それだけで十分かなって。自分の本ができたり、道を歩いていると『レンタルさんですよね?』って声をかけられたり、1年前だったら考えられなかったことが次々と起きていて、夢のようです。もし飽きたとしたら…それはそのときの気持ちに任せます」

“飯のタネにならないことをするのは意味がない”という価値観は好きではない、と彼はいう。

 新しく革新的なサービスを生み出す先駆者はいつの時代にもいるものだが、なにもしないことで人々の心の隙間を埋めるというサービスは、誰にでもできることではないだろう。レンタルなんもしない人が示す新たなサービスのあり方は、私たちにこれからの時代のワークスタイルがいかに自由で柔軟かを教えてくれる。