「正解以外は許されない」という窮屈な社会だからこそ、脱力を心がけるべきだ(中津城の猫)
脱力とは「無力」や「不真面目」ではない。「正解以外は許されない」と固くなってしまった社会システムや人間関係にどっぷりハマらず、柔軟な生き方を試してみる姿勢である

現代社会は様々なルールに縛られている。だからこそ、そこで働き続けるために必要なスキルとして有効なのが、ルールに縛られない「脱力」的な思考法だ。近年は書店の棚にも、『脱力思考法』『脱力仕事術』といった本が多く並んでいる。猪突猛進でがむしゃらに働くことが美徳とされていた時代から、脱力的な働き方への転換が求められているのではないだろうか。(清談社 岡田光雄)

優秀でも1つの欠点がアダに!
日本企業のゆがんだ人事評価制度

「おそらく多くのビジネスマンが、今の時代を窮屈に感じていることでしょう。仕事では正解を求められるあまり不正解を怖がり、ストレスを感じてしまう。他人のちょっとしたミスや失態を責め立て、自分の人生が報われないことにいら立ちを感じ、周りの人をおとしめる行動も目立つようになりました」

 こう時勢を嘆くのは、『創造的脱力――かたい社会に変化をつくる、ゆるいコミュニケーション論』(光文社新書)の著者で「NEET株式会社」の発起人・会長の若新雄純氏だ。

 若新氏は、今のビジネス社会の問題点のひとつとして、人事評価制度を挙げる。

「経営学には、大手企業や官僚的組織の人事評価を分析した、次のような研究があります。仮に一定期間に4回査定がある会社で、ABCDの4段階評価(Aが最高、Dが最低)だったとします。すると、『AADA』よりも『CCCC』という評価の人の方が出世できる仕組みになっているのです。というのも、現行の評価基準のほとんどが、D評価(下位25%)の人を4回にわたって落としていくシステムだからです」

 つまり、仮にサラリーマン人生を40年とすれば、最後まで出世できる人は一度も落第点を取らなかった人。会社や組織で生き残るためには、時に他人を蹴落とし、アラを探すことも、処世術のひとつなのだ。

 世の中がこれほど窮屈になってしまった最大の原因について、若新氏は昭和から変わらない学校教育のあり方に問題があると説明する。

「義務教育では、授業やテストで出される問題は、正解か不正解のどちらかで判定されます。さらに生徒の個性を尊重しない中学校の校則や指導法は、生徒の才能を奪いかねません。確かに、昭和の頃は、工場などで働く人が今より多く、事故防止のために足並みをそろえさせる教育も有効だったかもしれませんが、今はいろいろな視点を求められる時代。それなのに、人生で最もユニークなアイデアや才能を培う思春期に、そのきっかけを抑え付けてしまっているのです」