記者会見の「防衛ライン」は刑事告発回避

 さて、7月31日(水)に日本郵政、日本郵便、かんぽ生命、3社の社長が一堂に会して記者会見を行った。

 会見の基本方針は、経営者たちの保身の最終防衛ラインを、「かんぽ生命の株式売り出し前に私は(われわれは)大規模な不適切販売を認識していなかった」という点に置いて、不適切な事例の把握が遅れたことと、そもそも不適切な販売が起こるような経営をしていたことについては、大いに陳謝する、というものだったように見えた。

 日本郵政の社長である長門正貢氏は質疑で「(29日の)郵政民営化委員会での岩田一政委員長のほか、日本取引所グループの清田瞭グループCEO(最高経営責任者)もかんぽ株の売り出し時に経営陣が(不正を)知っていたのではないかとの文脈で発言していた。冗談じゃないと申し上げたい」と言っている。

 最終的に誰かが社長を辞任するくらいはガス抜きのために仕方がないが、刑事被告人になることは避けたいという思いなのだろう。三氏いずれも金融業界のご出身なので、個人のリスク管理には敏感なはずだ。

 今やこれだけの事態になりながら、日本郵政グループが2020年3月期の業績予想を下方修正しないことは異様に思えるが、不適切販売が業績に大きく影響するほどの問題だと認識していなかったと事後的に言い逃れるための予防線なのかもしれない。

 その後、保険料の全額返還が17年4月から19年3月までの2年間で1097件あったことが、「こうした数字は部長らが出席する社内会議で共有されていた」(「日本経済新聞」8月6日)と報じられた。不適切販売はかんぽ株式売り出しの前から認識されていたことになり、経営陣は説明が必要だと記事は指摘している。

 こうした社内情報が報道されることを見ると、社内からも疑問の声が上がっていることがうかがえる。それこそ、知らなかったなんて「冗談じゃない」と言いたい向きがいるのかもしれない。

 さて、3社長は逃げ切れるのだろうか。

 世間相場的には、刑事責任を問われるような事態にならなければ、社長を辞任しても何らかのポストはあてがわれるだろうし、ほとぼりが冷めたら転職も可能だろう。多少の挫折ではあっても、人生設計的に大きな問題はなさそうだ。