終始強気だった日本郵政の長門社長
この程度か――。日本郵政が31日に開いた定例の記者会見で、長門正貢社長はそう言いたげな表情を、時折見せた。
2時間以上にわたる記者との質疑では余裕すら感じられ、用意していた想定問答が吹き飛び、言葉に詰まるような場面はほとんどなかったといえる。
最大で18万件超にも及ぶ保険の不適切販売を巡り、経営責任を問われた場面では「陣頭指揮をとって改善策を講じることが経営者としての責任」と言い切り、辞任を否定。また、問題を見過ごしてきた経営者としての資質とそれに伴う責任を聞かれたときは、一瞬困惑しながらも「論理が飛躍している」と何とかかわしてみせた。
不適切販売で、郵便局への信頼を失墜させたことへの謝罪会見だったにもかかわらず、そこまで強気の姿勢でいられたのは、前日にあった会合の影響が大きい。
その会合とは、郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟(郵活連)の幹部会だ。
会長の野田毅氏をはじめ大物議員12人を前に、長門社長など日本郵政の首脳陣は、不適切販売の一連の経緯を説明。幹部議員から「今のような説明だけでは世間は納得しない」などと、厳しい言葉が飛んだものの、会合全体の雰囲気から、自らの首を差し出すほどの事態にはなっていないという感触をつかんだようだ。