問題は「ノルマ」でなく「手当」

 会見の質疑で日本郵便の横山邦男社長が明らかにしたが、「渉外社員の年収における手当は全体の中央値で25%くらい」だという。中央値で25%だから、「優績(ゆうせき、販売実績が優れている人を指す保険業界用語)」と呼ばれるような社員に至っては、年収の相当部分が保険販売の手当で占められていたものと推測される。

 もちろん、「ノルマ」(営業目標)にも影響はあったろうが、理解の乏しい顧客に不利益を与えながらも保険を売りつけることによって社員は自分の収入を稼いでいたのだから、個々の社員にあっても厳しい反省が必要だ。「無理なノルマを押し付けられて、保険を売らされている、かわいそうな郵便局員さん」というイメージを持つのは報道機関も郵便局の顧客もやめた方がいい。

 不正販売に関わった郵便局員については「過去に築かれた郵便局への信頼を背景に、顧客の無知や不安につけ込んで不利益な保険の販売を行って、自分の収入を稼いだ人」が正しい認識だ。

 こうした「手当」によるインセンティブの構造を改めない限り、ノルマだけを隠しても、不適切な販売はなくならないはずだ。ノルマの有無に問題を矮小化するなと、再度申し上げておく。

 給与水準を大きく上げて、保険販売に伴う手当を廃止する、というくらいの荒療治をしないと、郵便局は顧客にとって安全な場所にならない。それでは経営が立ちゆかないということなら、根本的な経営構造が間違っているのだ。

 自発的に保険に入りたいという顧客がいた場合にのみ、丁寧に説明した上で保険を売る。投資信託についても同様に対応し、せいぜい「つみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)」の普及に努める、というくらいの、手数料稼ぎから遠い良心的な郵便局像を求めたい。