「郵便局では保険に入らない」と決めていい理由かんぽ生命保険の不適切販売問題で頭を下げる日本郵便の横山邦男社長(左)、日本郵政の長門正貢社長(中央)、かんぽ生命の植平光彦社長 Photo:JIJI

アフラックのがん保険も販売を自粛すべき

 かんぽ生命保険による不適切販売問題の拡大が止まらない。先週、本連載で原稿を書いた時点では、過去5年間に不適切販売の疑いがあるとされたケースは9万件だったが、その後すぐに18万件に倍増した。また、かんぽの商品だけでなく、アフラック生命保険のがん保険でも、契約者に保険料の二重払いをさせてしまうリスクがあるという報道も出た。

 本稿執筆時点でアフラックのがん保険については販売自粛の対象になっていないと報じられているが、これは不適切だ。

 そもそも、今回の問題は保険商品の問題ではなく、かんぽ生命とその販売委託先である日本郵便の保険販売の問題なので、販売に関する点検が不十分な状態で保険商品を売らせるべきではない。また、保険を売ることで郵便局員の報酬が増える仕組みが残っているのだから、かんぽ生命等他社の保険が売れない中で、例外的に売れる保険があるとすれば、営業勧誘が集中する可能性がある。郵便局の保険販売は全商品を自粛する必要があることを再度強調しておこう。

 また、生命保険販売だけではなく、ゆうちょ銀行から日本郵便が窓口販売業務の委託を受けている投資信託の販売にも不適切な事例があったことが報じられている。販売に関わる社員にとって、「商品を売れば報酬があり」かつ「ずさんな売り方が放置されている」わけだから、投信でも不適切なケースがあるのは当然だろう。

「19万件」が明らかになった後も、次々と不適切な事例が出てくるのは、おそらく関係者の告発によるものだろう。販売の現場等には、相当に不満が溜まっていると推測される。問題を出し切って、業務のやり方を根本的に変えなければ職場は良くならないのだから、問題を告発することは全く正しい。