明暗が分かれた
トヨタと日産の決算
日本を代表する自動車メーカーといえば、トヨタ自動車と日産自動車だが、ここへきて両社の明暗がくっきりと分かれた。
4~6月期の業績は、トヨタ自動車が売上高7兆6460億円、前年同期比3.8%増、営業利益7419億5100万円、同8.7%増、純利益6829億7400万円、同3.9%増と、営業利益は過去2番目の高水準、純利益は過去最高となった。売上高営業利益率も9.7%と前年同期の9.3%を上回った。
これに対し、日産自動車は売上高2兆3724億円、前年同期比12.7%減、営業利益16億円、同98.5%減、純利益64億円、同94.5%減と大幅な落ち込みとなった。日産の営業利益が四半期ベースで100億円を下回るのは1~3月期に続く2四半期連続で営業利益率は実に0.1%と落ち込んだ。
トヨタと日産の業績が対照的となったのは、1990年代末と20年前に遡る。当時、トヨタはグローバル拡大で「攻め」の路線を進み、一方の日産はトヨタをライバル視しながら国内市場で後れをとり、グローバル戦略などで労使対立を抱えて大幅に業績を悪化させていた。
今回の4~6月期の業績を受けて日産は、1万2500人の人員削減と海外工場閉鎖を含む生産能力を1割削減する構造改革策を発表した。西川廣人社長は「2年で業績を回復させたい」と語ったが、日産の先行きを懸念する声が高まっている。
この4~6月期の自動車メーカー業績は、世界経済の変動や為替リスク環境で日産以外もほぼ最終減益となり、トヨタが際立つものとなった。その中でも日産の業績大幅悪化は仏ルノー連合にも影を落とすものとなり、ルノーの1~6月期の純利益も50%減となるなど、日仏連合の行方に暗雲が漂ってきた。