『頼む。もうあとはお前だけが頼りなんだ。友達だろ』

『友達ならなおさら、金の貸し借りで関係壊れるかもしれないんだから考えた方がいい』

『……そんなこと言わずに、頼む』

 みたいなやり取りがあって、電話を切った。

 モヤモヤしたが仕方ないと思い、帰宅してくつろいでいると23時頃にインターホンが鳴った。出るとその友人で『金を貸してくれ』と。4時間くらいかけて歩いてやって来たらしかった。

 非常識さに腹が立ったし、鬼気迫る感じが怖かったのでインターホン越しに『悪いけど貸せない』と言うと、友人は激高して怒鳴りながらドアをめちゃくちゃにたたき始めた。警察呼ぶぞ、とドア越しに声をかけたが効果なし。そのうちパトカーが来て友人は連行されていった。友人は連れていかれる際に『絶対許さない。裏切り者』などと絶叫していた」

 その後、数年して、Cさんはその友人が一応無事に生きてどこかで生活しているという風のうわさを耳にした。しかし彼がなぜあの時10万円が必要だったのかは謎である。

「昔から知っているけど、あいつは本当に愉快で楽しいやつだったので、金が絡むと人って怖いのだなと勉強になった」

ある営業職の怪談
飛び込み先で「妖怪」に遭遇

 現在、営業職として活躍するDさん(37歳女性)が新人だった頃の話。中小企業を対象に飛び込みをして、足を棒にする毎日を送っていた。

 ある事務所に足を踏み入れると、そこには陰鬱な印象の女性事務員が2人いた。年の頃は2人とも50歳前後であろうか。2人はDさんに厳しい視線を投げかけた。