トップが採用に熱心でなければ、幹部も人事も熱心にはなりません。サラリーマンは評価されないことを頑張りませんから。江副浩正社長時代のリクルートが採用に強かったのも、江副さんが採用に極めて熱心で、採用部門を実質的に自身の直轄部隊にしていたからです。

 その一方で、まだまだ官僚的な対応に終始して、人材獲得に熱を感じられない企業があるのも確かです。社内規定通りの金額でしかオファーを出せなかったり、対応が遅かったりして候補者を逃している企業は、いまだに「我々が採ってあげる」モードの会社が多い。しかし、採用は戦いです。とりわけ現在は人材獲得競争が激化しているのですから、認識を改めなければ優秀な人材は採用できません。

 企業が成長を目指すのであれば、自社の企業力を超える採用を行う必要があります。自社が採用できる水準の人を採用するのではなく、放っておいたらもっとよい会社に行ってしまうようなレベルの高い人をなんとか口説き、自社に引き入れなければ成長などできません。

 その戦いは、必然的に格下の企業が格上に挑む構図になりますから、激烈で分の悪いものになりがちです。そこで勝利するには全社を挙げた臨戦態勢が必要で、優秀な人材の内定が決まる企業、逃げられる企業の違いはそこにあります。

 見方を変えれば、採用に臨戦態勢を取っている企業のほうが、人材の重要性を理解し、強い成長の意思を持っているのだともいえます。候補者にとっても、そうした企業を選んだほうがよいと思います。

(株式会社クライス・アンド・カンパニー代表取締役 丸山貴宏)