「あんな風にはなりたくない」
先輩や上司に絶望する若手たち
日本人なら誰でも知っていて、給与は高く企業イメージも良い。そんな就職人気の非常に高い大企業の一部から、20代後半~30代半ばの若手社員が転職市場に出てくる動きが見られます。転職動機を尋ねると、異口同音にこう言います。
「先輩たちを見ていると、あんな風にはなりたくない」
あんな風に、というのは「自分では何も決められない」だったり「いてもいなくても一緒」だったり、「規模やエリアは変わるがずっと同じ仕事をしているだけ」等々。
一部とはいえ、高収入で周囲から羨望の眼差しで見られるような会社でなぜ、このような動きが起こっているのか。その大きな理由と思われるのが、ベンチャー企業に就職した学生時代の同期との比較です。
いくら就職人気の高い会社に入社したとはいえ、一般的な大企業で30歳手前はまだ修業中の身、といった扱いの会社は少なくありません。しかし、優秀な大学から新卒でベンチャーに入社した人は早くから権限と責任が与えられ、実績をあげてもう幹部クラスになっている人もいます。
ビジネスもベンチャーのそれと比べると古くてスピードが遅く、ダイナミックさでも劣っている。そうした彼我の差を目の当たりにすると、焦りが生じるのも無理はありません。
昔と比べ、現在は企業のいろいろな情報がオープンにされていますし、直接の知り合いが勤務していなくてもイケているベンチャーは広報戦略としてどんどんメディアに登場します。記事にされるような30代後半くらいのベンチャー経営者や経営幹部は非常に魅力的です。