「為替操作国」の認定の基準は次の通りだ。 
(1)米貿易黒字が年200億ドル以上あること
(2)経常黒字がGDP(国内総生産)の2%以上あること
(3)為替介入による外貨購入額がGDP比2%以上になること

 この3つに該当すれば、原則的に為替操作国として認定され、米国政府との2国間協議で為替引き上げを要求されたり、必要に応じて関税を引き上げたりされる。

 今年5月に提出された米財務省の報告書では、中国、韓国、日本、ドイツ、アイルランド、イタリア、ベトナム、シンガポール、マレーシアの9ヵ国が3条件のうち2つを満たすとして、「為替監視国」としてリストアップされていた。

 ただし、「為替操作国」の要件は形式的に決められていても、実際にはアメリカ大統領のさじ加減だ。

 世界の国の為替制度はどうなっているのかを見てみよう。

 IMF(国際通貨基金)では、各国の為替制度を分類しており、2018年時点で、「厳格な国定相場制」が12.5%、「緩やかな固定相場制」が46.4%、「変動相場制」が34.4%、「その他」が6.8%となっている。

 この分類によれば、米国の為替監視国リストに入っている国のうち、中国、ベトナム、シンガポール以外の国は変動相場制とされているので、よほど大規模な為替介入をしない限り、為替操作国として認定されることはないだろう。

 一方で中国の場合は「緩やかな固定相場制」だ。IMFも中国政府が為替介入していると判断しているので、中国が米国に「為替操作国」とされても文句は言えない面がある。

中国は「人民元高誘導」を主張
外貨準備などの統計数字曖昧

 中国の言い分は、為替介入はしているが、市場で決まる水準より人民元の水準を高めに設定しているということだろう。

 最近5年間で、中国が公式に発表している外貨準備は1兆ドル程度減少している。人民元の価値を高めるためには、ドルを売って人民元を買う必要があるので、外貨準備が減っていることは、中国政府が人民元高に誘導しているという根拠にはなり得る。

 しかし、中国の場合、そもそも外貨準備の統計数字が怪しいので、中国政府の言い分をうのみにするわけにはいかない。