農林中金グループのNVICと協業し、
刀は金融に革命を起こす!

奥野一成(おくの・かずしげ)
農林中金バリューインベストメンツ株式会社
常務取締役(CIO=最高運用責任者)
1992年京大法学部卒、日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2007年より、「長期厳選投資ファンド」の運用を始める。2014年から現職。長期厳選投資の哲学を標榜し、バフェット流の投資を行う数少ないファンドマネージャー。2017年より機関投資家向け投資において実績を積んだ運用哲学とその手法を個人向けにも展開している。2019年8月、農林中金バリューインベストメンツは、森岡毅率いる株式会社 刀との協業を発表。

 奥野一成氏は、日本長期信用銀行入行後、UBS証券を経て、2003年に農林中央金庫入庫。2007年から、「長期厳選投資ファンド」の運用を始めた。2014年からは農林中金バリューインベストメンツのCIO(最高運用責任者)となり、投資運用業務を行なっている。

「魅力的な産業の中で、高い参入障壁を持つ企業」を見つけ、「売らない」株式投資を続ける彼の発想は、それまでの日本の金融業界の常識から考えると「アンチテーゼ」とも言えるものだった。

「私の考え方は、アメリカの著名な投資家であるウォーレン・バフェットの手法から影響を受けたものです。欧米では一般的な考え方ですが、日本では普及してこなかった。なぜなら投資教育が進んでいない日本では、個人投資家が売買手数料で利益を得る金融機関の言うなりになってきたからです。この30年、日本の経済および株式市場は低迷してきましたが、世界主要国の株式市場は平均で毎年9%(注1)成長しています。1987年のブラックマンデーや2008年のリーマンショックで大きく下げた時期もありますが、長期で見れば確実に世界の人口は増え、それにともない経済も成長しているのです。その成長を排他的に収益化できる企業を保有していれば、老後の心配をせずとも、豊かな人生が送れるはずなのです」(奥野氏)

(注1)先進国主要企業の株価の推移としてMSCIコクサイインデックスの数値(米国ドル建て)を採用。2019年6月末時点で過去30年間における年率換算平均成長率は9.2%

 奥野氏は京都大学で学生向けに企業経営者を招き、講義をバックアップするなど投資の啓蒙活動に励んできたが、金融業界では異端の存在だった。

 そんな奥野氏と出会った森岡氏は、「これだ!」と確信した。

「長期投資の思想を日本に広めていけば、年金問題は何とか解決できる。そして老後の心配がなくなれば、消費も活発化し、景気はよくなるはずです」(森岡氏)

 森岡氏にとって意外だったのは、奥野氏のような先進的な思想を持った人物が、保守本流ともいえる農林中金のような組織にいたことだ。森岡氏は奥野氏と意気投合し、協業を決断した。

「金融業界のおかしなところは、規制で守られているせいで、ほかのビジネスなら常識である消費者第一の原則から程遠い構造が放置されてきたことです。売買手数料だけが目的で、リスクは消費者に預けっぱなしのようなことが横行している。むしろ消費者に知識がないほうが、金融機関は楽に儲けることができる。そんなおかしな状況を変えていきたい。我々の使命は、マーケティングの力でわかりやすく投資を啓蒙し、消費者にシンプルな選択の主導権を握ってもらうこと。それによって消費者の手に投資を取り戻し、人々をより豊かにしていくことです」

 森岡氏は熱く語る。

「金融機関と消費者の間にある、あまりに酷い情報の非対称性を解消する変化の起点に我々はなりたい。正しい投資活動が盛んになり、将来の不安が減っていけば、人々はもっと消費をするようになるでしょう。そうやって経済が回るようになれば、多くの人に果実が落ちてくるという循環が生まれるはずです」(森岡氏)