月2万円×30年≒3,661万円!
確実で簡単でインテリジェントな投資法

 今すぐ正しい投資活動を始めれば、老後の心配はいらなくなると森岡氏は言う。

「嘘ではありません。金融庁のホームページにある計算式を使って試してみましょう。毎月2万円の投資を複利で、世界主要国の株式市場の平均値である年利9%で30年続けたとする。すると総額は3,700万円近くなります(税金や手数料は除く)。積み立てる元本はたったの720万円で、コツコツ積み立てることで達成可能な金額です。しかし運用収益が元本を上回り、複利でどんどん大きくなる。つまり投資の最大の武器は長期に及ぶ「時間」なのです。長期の「時間」があれば、投資に甚大な複利効果が生まれ、短期で起こる様々なマイナスリスクもヘッジできるのです。今年配の方は20年や30年の時間が自分にはないと考えるかもしれませんが、とんでもない。人生100年時代ですから、10年でも5年でも長期投資による果実は大きいのです。早く動いて時間を大事に使うことは誰にとっても重要です」

 投資というと多くの人は、短期間で売買して利ザヤを稼ぐことを想像しがちだが、それは投資ではなく投機。つまりギャンブルでしかないと森岡氏は言う。

「短期で売らなくてもよい投資先を厳選する能力は重要です。この厳選力で素人がプロに勝つのは難しいので、奥野さんのような凄腕のファンドマネージャーを活用する。時間と厳選力で、平均9%で成長し続けてきた世界経済の構造に乗っかるのです。これが私が知る最も手堅い投資戦略です」(森岡氏)

 日本の銀行の金利がほぼゼロになっていることを考えると、9%の利回りなんて信じられないと言う人もいるだろう。だが世界は確かに成長しているのである。1990年に50億人だった人口は今や70億人まで増えているのだ。

「世界に目を向けましょう。日本人だからといって、成長が停滞している日本株だけを買わなければならない理由はどこにもありません。例えばコカ・コーラは、世界で最も強靭な企業の一つです。全世界に進出していて、巨大な商圏を築いている。今からコカ・コーラに追いつこうと思ったら、とんでもない額の資金が必要になります。つまり参入障壁が非常に高いのですね。だから世界の人口が増え続ける限り、コカ・コーラの収益も増え続けることは合理的であり、可能性としては高いのです」(奥野氏)

 こんな当たり前な考え方がこれまで日本で広がらなかったのはなぜか?

「それはこれまでの日本人がゆりかごから墓場までお上に頼り切ることができ、老後の資産形成を自分で考える必要性がなかったからだと思います。しかしこれからの時代は違います。投資による資産形成をすべての自立した大人が自分で考えられないと、豊かな人生は送れなくなります」(森岡氏)

「一度買ったらずっと手放さない投資、いわゆる「売らない投資」では、売買手数料が発生しにくい。金融機関にとってはあまり儲からないビジネスだったこともあるでしょう。私はこの古いビジネスモデルを変えたい。日本を短期売買ではなく、しっかりとした長期投資が根付いた成熟した国にしたいのです」(奥野氏)

 農林中金バリューインベストメンツは、長期厳選投資の哲学の下、強靭な企業を世界中から探し出し、約2ヵ月に1回は現地を調査して詳細なレポートを投資家に届ける仕事を続け、過去5年で世界の水準を上回る年平均11.6%という高いリターン実績(注2)を出している。奥野氏が実際に運用する投資信託、「農林中金<パートナーズ>米国株式長期厳選ファンド」は、もともとプロである機関投資家の高い期待に応えるべく開発、運用されてきたものだが、2017年から個人投資家に対し、アクティブファンドとしては低い信託報酬(0.972%)で門戸を開いた。

 このように個人投資家が少額から、成長する世界経済に乗っかることで長期で資産形成できる投資信託もすでに存在している。

 そのような知識を持っているかいないかで、将来の暮らしは大きく変わる。それこそが教養としての「投資」であると森岡氏は言う。

「飛行機を発明したのはライト兄弟ですが、彼らだけの力だけでは今ほど航空産業が発展することはなかった。飛行機の発明が素晴らしいことだと理解して、投資をした人々がたくさん存在したからこそ産業として発展したのです」(奥野氏)

 多くの日本人は投機と投資を混同して、投資が何か卑しいものであるかのような誤解を持っている。しかし資本主義国家にとって、投資は最も健全な経済活動であり、「投資」はビジネスパーソンにとって、社会と自分の人生を豊かにする重要な「教養」なのだというのが二人の共通の考えだ。

「マーケティングには価値の再定義をするという役割があります。日本における金融の価値を再定義していきたい。それが老後の不安を解消することになり、ひいては今の経済を活性化させる大きな馬力となると信じています。老後の不安解消はテーマパークではできません。だから金融に踏み込んでいく。そういう意味でまたとないチャンスだと思っています」(森岡氏)

 森岡氏率いる刀は、新たに農林中金グループと組んで動き出す。それが日本の未来を明るく照らす変化の起点となるか、今後に注目したい。

(注2)農林中金バリューインベストメンツが運用・助言する、米国株式に投資をする各ファンドのリターンを加重平均したコンポジットリターン(手数料控除前)データ。2014年9月1日を起点として、直近2019年6月末までの年率換算平均成長率11.6%(米国ドル建て)を算出。
金融庁ホームページより

参考記事

丸亀製麺を復活させた、刀の意外な戦略
粟田貴也/森岡毅インタビュー