好きなことで生きていくなら
「お金をもらう」という決断をする
「お金をもらう」と決断することは、意識するだけの簡単なことに思えるかもしれません。しかし、お金をもらわずに、ただ好きなことをやってきた自分には、とても難しいことでした。
例えば、あなたが絵を描くことがとても好きな人だとしましょう。絵がうまく、とても評判が良くて、ある日友達から、自分の家族へのプレゼントに絵を描いてほしいとお願いされた時、「じゃあ、いくらちょうだい」とか「お金は支払ってもらえるの?」と尋ねることはできるでしょうか?
言うのは勇気がいると思います。僕も同じでした。自分が好きでやっていることなのに、お金をもらっていいんだろうかと罪悪感がとても強かったことを覚えています。
好きなことは趣味のままでいいと、それでお金を稼ごうと考えていない人はそのままで良いと思います。一方、まだどうしようか迷っている人は、自分はこれでお金を稼いで生きていきたいのか、そうでないのか、しっかり考えるべきです。
僕がちゃんとお金をもらおうと思ったきっかけは日本テレビの番組で『人生が変わる1分間の深イイ話』にも出演したことがある、当時東大トレーダーだった田畑昇人さんと出会ったときのことです。お互い専門分野で活躍していた話(もちろん僕はボードゲームで、田畑さんはFX)で盛り上がり、彼の紹介で大手企業の部長にインターンのプログラムとして、ボードゲームイベントができないかを提案しに行きました。
結果的に、ボードゲームは面白がってもらえて、実際に利用してもらうことになったのですが、先方から言われたのは、「じゃあ、そのボードゲームをうちの会社に送ってもらえる?」というもの。
つまり、その部長の代わりに、販売元にゲームを注文してその企業へ発送するだけ。しかも、マージンも一切もらえず、ただの情報提供と代行注文をしただけで、結局、ノーギャラで終わったのです。
田畑さんたちといろいろ考えて、資料もつくって、相手の会社に足を運び、インターンに合うゲームを紹介したのに、結果は0円……と、これには非常にショックを受けました。
『7つの習慣®』ボードゲームで注目されるまでは、こういったパターンがほんと多かったので、すごい記憶に残っており、それ以来、情報提供はよほどのことがない限り、有料でやると決意したのです。
でもこうして、「お金をもらう覚悟を決める」ことで意識が変わりました。
そして、お金をいただくことで「これは趣味ではなくビジネスだ」という自覚が生まれ、考え方も変わっていきました。もちろん、お金を支払う側でも求める内容の真剣さが違います。そして、それらのフィードバックもきっちり受け取ることで、改善に活かそうと素直に受け止め、さらに成長する糧になります。
逆に無料で提供していると「そうはいっても、無料で提供しているわけだから」と言い訳ができてしまうのではないでしょうか。
僕はお金をもらう覚悟を持つことで、「お金の価値以上のことを提供しよう」という意識になり、結果として評判が上がったり、人からまた声をかけてもらえたりと次に繋がっていきました。
(続く)