香港の衝突が世界に拡散、親中派デモの裏で何がPhoto:Reuters

 香港で発生した政情不安が世界へと拡散している。

 カナダ主要都市トロントでは、大きなエンジン音を立てる複数の高級オープンカーから中国国旗がはためいている。スコットランドのエディンバラでは、中国共産党の言うことを聞くよう香港に忠告する歌詞を親中派が大声で歌っている。カナダのバンクーバーでは、香港デモ支持者が集まった教会の周辺を約60人の親中派が取り囲んでいる。

 欧米の複数の都市ではここ数週間、香港デモに対する中国当局の方針に支持を表明しようと、親中派が時に攻撃的なデモを展開し、注目を集めている。これまではネットや香港内部にとどまっていた対立が世界に広がっている。

 在外中国人による愛国心の誇示は今に始まったことではない。だが、留学や仕事で外国に住む中国人がますます増える中で、親中派の勢力も拡大している。

 ニューヨークやボストン、サンフランシスコ、ロンドン、ベルリン、パリ、シドニーやメルボルンなど、中国系住民が多い欧米の主要都市では、香港デモを巡る対立が中国系コミュニティーに分断をもたらしている。

 親中派は戦いの場を欧米諸国に持ち込むことで、香港デモ隊に向けられた「ひいき目」に対抗しようとしている。その一方で、本国では大幅に制限されている自由を行使している。