いち早く中食志向を見抜き
「刺し身とすし」に注力

 4つ目の逆張り経営は現在の中食志向を反映させ「刺し身とすし」に力を入れたことだ。スーパー店頭でも現在は刺し身やすしの品ぞろえは増やしているが、栁下社長はスーパーよりも一足早く、刺し身とすしに力を入れると社内に宣言した。

 すしはすし屋で売っているような本格的なすしを売る。刺し身も仕出し屋のような刺し身を作る。変化を先取りしたすし、刺し身戦略も軌道に乗っており、今では最高にすしを売る店で1日2000万円以上売っている。1000万円以上の店も10店くらいあるという。

 そしてなんといっても角上魚類が大事にしているのは、やはり原点である仕入れの目利き力だ。

 同社は毎日、バイヤーが新潟と東京・豊洲の市場に張り付いて情報を共有化、価格はどちらで仕入れた方が安いかを共有、店頭売価の設定もバイヤーが決めるし、店舗への配荷も決める。

 店側では売ることに専念できるから、相談販売、下加工というサービスを充実させることができるわけだ。売れ残りそうになったら、加工品として加工してしまう機動力が店にはある。これが同社の利益率を押し上げる源泉でもある。

 栁下社長は、店舗展開には慎重だ。というのもバイヤーの目利き力を育成するのが先決、店頭でしっかりと説明販売できる方が先と考えているからだ。

 同社が新鮮な魚を毎日、販売できるのは、この目利き力、説明販売、店頭での下ごしらえを対面でできることで成り立っているとみられる。人材が育っていないのに多店舗展開していったら、角上魚類の経営のバランスが乱れると考えているからだろう。

 角上魚類のロス率は通常の鮮魚店では6~7%のところ1%以下という低ロス率。営業利益は19年3月期で21億円だから売上高経常利益率は6%以上だ。

 栁下社長が寺泊で直販店を始めたときに、心掛けたのは「4つの良いか」だった。「鮮度は良いか」「値段は良いか」「配列は良いか」「態度は良いか」。この4つを守り抜いてきたからこそスーパーに負けない鮮魚専門店チェーンに成長したといえるだろう。