米中貿易戦争の勃発から1年半、あるパターンが見えてきた。ドナルド・トランプ米大統領が中国製品に対して追加関税を課すと脅迫。中国政府もこれに報復し、小幅な景気支援策を発表するとともに、人民元の下落を容認する。トランプ氏が中国を糾弾。米中両国の経済はさらに減速する――。トランプ氏はここにきて、米連邦準備制度理事会(FRB)をもこの対立に巻き込んでおり、十分な支援を提供していないとしてFRBたたきを展開している。投資家にとっては残念なことだが、このサイクルが少なくとも2020年11月の米大統領選まで長引く可能性は十分にあり得る。背景には、中国当局の観点から見て理にかなうであろう3つの理由が存在する。まず、中国はトランプ氏が信頼できる交渉相手ではないとの疑念を強めているもようで、米国の政権交代を待つ動機が働いている。次に中国は、米国の関税による経済への打撃をすべて相殺とはいかなくとも、和らげる手段を有している。つまり、中国経済の成長は鈍っているものの、経済が崩壊しているというわけではない。また、中国は巨額の対米貿易黒字を抱えているため、米国よりも貿易戦争の影響を受けやすいように見えるものの、さらなる武器を導入することは可能というのが3つめの理由だ。