ちょうどそこまで説明したところで、私たちが注文した生ビールや枝豆、中華冷麺などが運ばれてきた。枝豆を載せた小皿の下に、さらにもう1つ小皿がついているのに気付いた。私はそれを例にして説明を続けた。

「たとえば、この枝豆を載せた小皿の下にもう1つの小皿がついている。枝豆の殻捨て用に用意してくれたものだと思う。こんな出し方は中国ではまずないだろう。小皿を1つ余計に出すと、その分、破損するリスクが高くなる。使用後に洗わなければならない食器も増えてしまう。洗剤も水もその分だけ余計に使ってしまう。スマホの充電に使われた電気代と比べて、どちらが高いかはわからないが、少なくとも携帯電話の充電を認めないのは、店側がケチったという単純な話ではない。だから先入観で話をすると、こうした矛盾した現象をうまく説明できないばかりでなく、ミスリードしてしまう恐れもある」

コンセントを解放しなくても
食器にはきめ細かい日本の飲食店

 そこで、私は持論を展開した。伝統的産業の全盛時代であった1990年代までの日本では、製造業もサービス業も1つの極みに達していたところがある。枝豆を載せた小皿の下にもう1つの小皿をつけて出すことは、まさにお客の満足度を全力で追求した結果だといえる。

 しかし、インターネット全盛時代となったいま、ビジネスモデルにインターネット的視点を入れないといけないのに、日本はついていけなくなっている。店舗内のコンセントを携帯電話の充電のためにお客さんに使わせないというのは、そのインターネット的視点が欠落している典型例だといってもいい。

 これは決して、日高屋1社だけの問題ではない。ビジネスに関するインターネット的視点が欠落していると私がこれまで名指しで指摘した企業の中にも、パレスホテル、京王プラザホテル、モスバーガー、旭川空港、サンマルクカフェなどがある。つまり、多くの日本企業が抱える共通の問題なのである。