また、Follmann氏らは、ワクチンの実用化にはさらに検証を重ねる必要があるとした上で、今回の結果を踏まえて、より大規模な臨床試験の実施を計画しているという。同氏は「ワクチンが実現すれば公衆衛生だけでなく、経済的にも多大な影響をもたらすだろう」と説明。性器クラミジア感染症対策においても、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンと同様の成功を収めることが期待できるとし、「最終的には、性行為を経験する前の女児や、場合によっては男児も対象としたワクチン接種の普及につなげたい」と同氏は話している。
今回の報告を受け、専門家の一人で米国セクシャルヘルス協会のスポークスパーソンであるFred Wyand氏も「有望な結果だ」と評価。「性感染症のクラミジアのワクチン開発は困難の連続だった」と振り返り、「この試験結果を考慮すると、ワクチンの実現は夢ではないようだ。ただ、その実現はかなり先になるだろう」と話している。
性器クラミジア感染症は世界で最も一般的な性感染症の一つで、新規感染例は年間約1億3100万例に上る。感染例はティーンエイジャーや若年成人に多くみられる。また、クラミジア感染症には男女を問わず罹患する可能性があり、女性の場合は子宮頸部や直腸、咽頭、男性の場合は性器や直腸、咽頭などに感染する。
論文の付随論評を執筆した米ノースカロライナ大学チャペルヒル校教授のToni Darville氏は「クラミジアワクチンの臨床試験は始まったばかりだが、将来的に有望だといえる」とした上で、ワクチンによって感染を防げなくても、卵管など上部の生殖器の損傷を防げるのかどうかなどを解明すべき課題として挙げている。(HealthDay News 2019年8月12日)
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