大きな声で謝ったら、落ち着ける場所に移動すべし!

 お客さまが立っている状態であれば、怒鳴るように謝ってたじろいだ瞬間、「どうぞこちらにおかけください!」と声をかけます。その場に椅子がなければ、「こちらでゆっくりお話をお聞かせください」と、バックヤードやカウンターの角に移動してもらい、とにかく座ってもらうようにします。

 というのも、人間は怒鳴っているときは血圧が上がり、心拍数も一般に100を超えます。とても論理的な会話をできる状態ではありません。ですから、血圧や心拍数を下げるためにまずは座ってもらい、冷静になってもらうのです。

 できれば、お互いに真正面に座るのは避け、斜めの位置に座るようにします。斜めの一に座ったほうが目線を外しやすくなり、対決モードにならずに済みます。ここまでで、お客さまはかなり落ち着きを取り戻し、怒鳴るのをやめるケースがほとんどです。

 では、「おかけください」とは言えない、電話越しに怒鳴りつけてくるお客さまには、どう対処すればいいでしょうか。

 怒鳴る勢いで謝ることの効果は同じです。特に注意したいのは、電話を受けるときにハキハキとした口調で語尾を上げるように習慣づけておくことです。

 なぜなら、語尾を下げて静かな口調で受けてしまうと、お客さまに怒鳴られたときに、怒鳴り返すように謝るには、一瞬でテンションを上げなければならなくなり、難易度が非常に高くなってしまうからです。

 いずれにしても、お客さまの声の大きさやトーンに合わせて対応しながら、怒鳴り声の背後にある原因や感情を探ってください。そして、頃合いを見計らって、お客さまの気持ちを代弁する言葉を投げてみてください。

 お客さまから怒り口調ながらも「そうよ」「そうだよ」というYES言葉が返ってくるようであれば、「この人はわかってくれている」と認識してくれた証拠です。それを機にお客さまの怒りは一気にトーンダウンするので、こちらもそれにあわせて声の大きさやテンポを合わせて、本題の解決に向けて話を進めていきます。