「何もしないリスク」は見える?
「チャレンジしましょう」とは言っても、やみくもに起業や株式投資をすすめたいわけではありません。
たとえば、会社を辞めて起業するか、このままサラリーマンをするか、という二択を考えてみましょう。
成功するかどうかわからないまま動くのは明らかにリスクが高いですよね。
「リスクをとる」ということは、目を閉じて飛び込むことではありません。目を見開いて直視し、ちゃんと考えて決断をし、その上でチャレンジをすることです。
これからの時代、一生サラリーマンのままで過ごすこともハイリスクな決断です。
近年、会社や事業の寿命は短くなっています。会社にリスクを預けっぱなしにすると、会社が潰れた途端に人生が詰んでしまいます。
なぜなら、同じ会社で働き続け、「その会社でしか通用しないスキル」しか身につけていないからです。そのスキルだけのまま年をとると、他の会社に再雇用される可能性は限りなく低くなります。再就職できたとしても、少なくとも前の会社と同じ給料は稼げないでしょう。
「動くリスク」がある一方、「何もしないリスク」が見えるかどうか。
先ほどの二択では、「サラリーマンとして働きながら、いつでも動けるように準備しておく」という中間の位置に答えがあります。
リスクがゼロになるのを待つのではなく、リスクを下げる努力をしつつ、よきタイミングで挑戦をする。そういう投資家的マインドを手にしましょう。
投資家みたいに考えることができれば、リスクに備えて日々の行動を決めることができますし、自分の市場価値を念頭に置いて生きることができます。
投資がなければ「未来」が生まれない
あなたのまわりには、たくさんのモノやサービスがあります。これらは、誰かが損をするリスクをとってくれたおかげで存在しています。
あなた自身の今があるのも、家族や学校、地域社会、会社の先輩などが愛情や時間を注ぎ、熱心に指導をして教育をしてくれたからです。
当然、損をするリスクもとってくれていたでしょう。
誰かがリスクをとってくれた結果、今の社会があるということは、逆に見るとどうでしょう。
未来の社会は、私たちがリスクをとって行動していかないと、切り開いていくことができないということです。
私たちがリスクをとる姿勢を失うと、世の中の成長が止まってしまいます。
ですから、「私が投資をしよう」と伝えているのは、「お金をふやそう」ということではないのです。
「投資」という行為は、金銭的な損得のためではなく、「未来を切り開く」ことにおいて必要なのであって、「お金を得る」ことは投資のリターンの一つにすぎません。
投資の本質とは、「今、この瞬間にエネルギーを投入して、未来からお返しをいただくこと」だと、本書では定義しています。
そのことに気づけるかどうかは、人生の分かれ目だといっても過言ではありません。
なぜなら、世の中で成功している人や圧倒的な成果を出している人は、この「投資の本質」を完全に理解しているからなのです。