米国の対中関税引き上げ第3弾までは、米中貿易摩擦の経済への下押し圧力は中国の方が大きかったが、ここにきて米国への負の影響も目立ち始めた。

 景気の先行指標である、米ISM(供給管理協会)製造業景況指数の8月は49.1となり、2016年8月以来3年ぶりに景気判断の分かれ目となる50を割った。米国経済の減速感は強まっており、9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での0.25%の利下げは確実だろう。

 ISM製造業景況指数は企業の景況感を表すものだが、今後は、個人消費への影響も避けられなくなりそうだ。それは、第4弾の対象は消費財の比率がこれまでよりかなり高くなるからである。第3弾までの対象品目の消費財の比率は約4分の1だったが、第4弾は消費財が約7割を占める。

 加えて、第4弾はこれまでと比べて「中国以外からの代替輸入が難しい品目が多い」(関辰一・日本総合研究所主任研究員)。それ故、関税引き上げ分が消費者への販売価格へ転嫁される公算が大きくなる。消費者への価格転嫁ができなければ、小売業者が自らの利益を減らして吸収することになり、企業収益が減少する。

 スマートフォンなど影響の大きい消費財については、12月15日まで関税引き上げが延期されたが、これはクリスマス商戦への影響を考慮してのものだ。

 引き上げが確実となれば、消費者は引き上げ前に対象商品を購入しようと動くだろう。いわゆる駆け込み需要だ。そのため、年末にかけては個人消費がかさ上げされ、好調を維持するという皮肉な結果になる可能性はある。ただ、その場合は、年明け以降反動による消費減少圧力が強まるだろう。

 これまで個人消費が堅調であった背景には、雇用の好調さがあった。しかし、これまでの毎月の雇用統計公表値が実態より高過ぎた可能性がある。米労働統計局は、各州の失業保険税のデータを基に算出した3月時点での推計雇用者数を発表するが、これはサンプル調査である毎月の雇用統計より精度は高い。