だから、若者と話し合う場すら設けることができない。週末に行われるデモは14週連続となった。警察は次第に暴力的になり、唐辛子スプレーや警棒攻撃、催涙ガス、放水銃、ゴム弾などをデモ隊に放った。ついに、警官が空に向けて初めて実弾発砲する事態も起こった。そして、それが世界中に動画として配信されてしまった。

 要するに、香港政府・共産党は、デモ隊を一方的に「暴徒」と決め付けて、警察力で抑え込もうとしたのだが、全くデモの拡大を抑えられなかった。その上に、国際社会にもむしろ「警察こそ暴力的」というイメージが広がってしまったのだ。

 何とか事態を沈静化したい中国共産党は、深センに武装警察と軍車両を集結させて訓練するところを全世界に発信し、いつでもデモを抑え込むぞと威嚇した。だが、実際には香港への武力による非人道的弾圧は、世界中から未曽有の反発を招いてしまうだろう。

 また、トランプ大統領が態度を硬化させて、米中貿易戦争の収束もまったく望めなくなるとみられる。EUなどが、中国に厳しい経済制裁措置を講じる可能性もある。そうなれば、米中貿易戦争によって既に停滞している中国経済は甚大な被害を受けるだろう。中国共産党にとって武力による弾圧は、簡単にできる決断ではない。

新学期を迎えた学生たちが
学校の前でつくった「人間の鎖」

 9月2日には、新学期を迎えた90校以上の中学校・高校の生徒や、香港大学・香港中文大学など10大学の学生が授業のボイコットを始めた。「勉強よりも自由が大事だと思ってここに来た。警察や政府がやっていることはおかしい」と訴える学生たちが、学校の前で手をつないで「人間の鎖」をつくったりした。

 香港政府ナンバー2の張建宗政務官は記者会見で「学校に社会問題を持ち込むべきではない」と批判したが、学生たちの勢いを止めることはできない。そして、香港政府・中国共産党はここで手痛いミスを犯してしまう。