また、あおり運転についても容疑を認めているものの、当初は「前を走る車が遅く、妨害されていると感じた」「危険な運転をしたつもりはない」と供述。まるで被害者が原因をつくったと言わんばかりだ。

 ほかにも7月23日、静岡市や愛知県岡崎市でもあおり運転が確認されており、静岡・愛知両県警も捜査している。

 この事件は平たく言えば「高速道で男が進路妨害した揚げ句、相手を殴った」という程度で、歴史を揺るがすような内容ではない。しかし、実は宮崎容疑者が果たした役割は大きい。

 というのは、中村・石橋両被告が起こした事件が取り沙汰されても、国会は法改正など、あおり運転に対して何の対応もしてこなかった。

 石橋被告が適用された危険運転致死傷罪にしても、もともとは飲酒運転による事故がきっかけで成立したものだ。

 自民党は8月27日、交通安全対策特別委員会で、規制や罰則強化に向けた法整備を検討し、早ければ秋の臨時国会で法改正する方針を固めた。

 同委員会の委員長で、元警察官僚でもある平沢勝栄衆院議員は「現行法が想定していない危険行為が相次いでいる」とし、警察が対応に苦慮している現状に言及。道交法の改正や新規立法の必要性を強調した。

 さらに翌28日、菅義偉官房長官も「意図的に危険を生じさせる極めて悪質な行為。厳罰化に向けて必要な検討を進めていく」という政府の意向を示した。

 29日には、与党・公明党も新たな法整備などを検討するプロジェクトチーム(座長・岡本三成衆院議員)を設置。政府への提言をまとめる態勢を整えた。

 繰り返される「あおり運転」という名の危険行為。1トン(もしくはそれ以上)もの金属の塊は、刃物や銃と同等、もしくはそれ以上の殺傷能力を持つ。

 自動車という文明の利器を、動く凶器とさせないために、法改正や新規立法などの対策はもはや待ったなしだ。