第3章

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「ちょうど殿塚先生とお会いしていた。先生にも見ていただきたいと思ってね」

 村津は部屋の者たちを一瞥すると言った。

 森嶋は村津を国交省の首都移転チームのリーダーとしてダラスに紹介した。

 ダラスはすでに、殿塚については野党第一党の重鎮として知っているようだった。

「勝手なことをして申し訳ありませんでした」

 森嶋は村津に小声で言った。

「行きがかり上、こうなってしまいました。日本のこれ以上の降格は、なんとしても避けなければならないと思いました」

 村津も今日の朝からの状況は知っているはずだ。

「悪いタイミングじゃない。しかしきみは顔が広いな。大統領補佐官、国務大臣の次は、格付け会社のCEOか。だが、これはやはり極秘事項に入るだろうな」

 村津はダラスに向き直り、流暢な英語で話し始めた。

「この新首都の模型は、まだ公表されていません。決定されたものでもありません。しかし、私たちはこの首都の形に自信を持っています。新しい都市モデルでもあります」

 村津はダラスに新首都は10年後、あるいは20年後にさらに新しい場所に移る可能性を秘めていることを話した。

 ダラスは頷きながら聞いている。しかしその顔は半信半疑だ。

「首都を移動させるというのですか」

「バカげていると思いますか。しかし世界が変わっていくように、国も変わっていきます。変わらなければいずれ衰退します。さらに重要なことは、国民も変化していくことです」

「だから首都も変わるというのですか」

 ダラスは考え込んでいる。