『医者が教える食事術 最強の教科書』、続く第2弾『医者が教える食事術2 実践バイブル』合わせてシリーズ累計88万部を突破!著者の牧田善二先生の『金スマ』出演でも話題沸騰の本書を使ったダイエット企画もついにラスト2回。最終的な結果は次回に回すとして、今回も前回に続き『医者が教える食事術』ダイエット期間中に直面した疑問の数々を牧田先生に直撃。
「糖質制限ダイエット」はやせない!に反論すると…
読書するとき、註や参考文献欄が楽しみな人間である。興味のある情報を掘り下げようと思ったら、出典や情報源に当たるのが一番効率がいいからだ。そうやって、図書館で数珠つなぎに本を探して借りていくことをよくやる。
『医者が教える食事術 最強の教科書』に続く第2弾、『医者が教える食事術2 実践バイブル』には、巻末に詳細な出典表記や参考資料紹介がある。
著者の牧田善二先生に伺ってみると、やはり、本の主張に対して抵抗感をあらわにされる方も多かったから、しっかりと典拠を示したい、というご意向だったようだ。
実はこの点、私にも覚えがあって、この連載中、ラーメンの中身をこんにゃく麺にしたり、豆腐に置き換えたり、とにかく糖質を抜いて、スープだけは味わいたいとほうぼうのお店を巡ったことがあった(連載7回目のことである)。
その記事に一言「スープ飲まなきゃそんなに太らんよ」とコメントをいただいたのだ。お気遣いまことにありがたい。実際、コメントをいただけること自体あまりないので本当にうれしいのだが、「そんなに太らない」どころか、その食生活でもやせていっているというのがその回の趣旨であるので、ちと返答に窮してしまう。
実際に試してお示しできればいいのだが、
「筆者はラーメンスープを摂取すると太る」
「筆者はラーメンスープを摂取しても太らない」
このうちどちらが真で、どちらが偽か、厳密な実験で確かめようとすると、これがまた、なかなか一筋縄ではいかない。
普通に考えると、与える条件を合わせて、ラーメンスープを飲んだときと飲まないときを比べればいい、となる。
しかし、考えてみると「前の食事は納豆と豆腐だった」「ステーキだった」「実は何も食べていない」とか、「筋トレしていた」「一日中寝ていた」とか、筆者を取り巻く条件や環境というのは際限がない。
たとえ、一度ラーメンスープを飲んで体重を量った後、タイムマシンでそれをなかったことにして今度は飲まずにやってみるということができたとしても、なにかしら条件は違ってきてしまう。
加えて、複数人が比較対象になる場合、条件から考えると、実験の場となる人からして違う。AさんとBさんで試したとしても、どちらか特異体質ではないのか等も考慮に入れなければなるまい。2、3人、いや、10人、20人ではとうていサンプル数が足りない。
科学者はサンプル数を確保し、統計学なども駆使して、「どうやったらある事柄が本当であると主張できるだろうか」とがんばって実験を計画するわけだが、それでもいつの間にか、「これを変えたら、気づかないうちにあれも変わってしまっていて、実はあれの方が本質だった」ということもざらにあるわけである。
『医者が教える食事術2 実践バイブル』では、すぐに役立つ食品の選び方の前提として、そこらへんの科学リテラシーについてもコンパクトにまとめられている。いやぁ、あることを論証する、というのは本当に大変なんだと実感するところである。