久保建英サッカーW杯アジア2次予選でミャンマー代表と対戦する久保建英 Photo:EPA=JIJI

スペインでデビューを果たしたMF久保建英(RCDマジョルカ)が、森保ジャパンの中にも新たな化学反応を呼び起こそうとしている。トップ下で大きなインパクトを残してから3ヵ月。ワールドカップ予選を勝ち抜いていくための戦力として、引き続き招集された9月シリーズでは右サイドハーフとしてプレーした。ポジションが重なる24歳の南野拓実(ザルツブルク)と21歳の堂安律(PSVアイントホーフェン)、切磋琢磨する後輩たちを笑顔で見守る33歳のベテラン、DF長友佑都(ガラタサライ)の言葉を紐解きながら、18歳の逸材の現在地を追った。(ノンフィクションライター 藤江直人)

史上2番目の若さで日本代表に
その間にレアルからマジョルカへ移籍も

 この夏に18歳になったばかりの、無限の可能性を秘めた少年を触媒として、日本代表に化学反応が起ころうとしている。6月シリーズに続いてMF久保建英(RCDマジョルカ)を日本代表に招集した理由を、森保一監督はこう説明した。

「6月のキリンチャレンジカップやコパ・アメリカでプレーさせてみて、彼自身のプレーのクオリティーが代表選手としての戦力に相応しいと判断しました」

 エルサルバドル代表と対峙した、6月9日のキリンチャレンジカップの後半途中から出場。日本代表史上で2番目に若い、18歳5日でデビューを果たした久保は、東京五輪世代を中心とする陣容で臨んだコパ・アメリカでも3試合すべてでピッチに立った。

 この間のプレー時間は210分。ゴールやアシストはマークしていない。それでも森保監督の中で描かれていた選手間の序列を鮮やかに覆し、カタールワールドカップ切符獲得への第一歩となるアジア2次予選が幕を開ける9月シリーズで必要不可欠な戦力へと昇華した。

 エルサルバドル戦で「FC東京」だった久保の所属先は、コパ・アメリカで「レアル・マドリード」となり、9月シリーズに臨む直前に「マジョルカ」に変わった。ヨーロッパを代表する名門から、今シーズンからラ・リーガ1部へ昇格したクラブへの期限付き移籍は決してネガティブなものではない。

 当初はBチームのレアル・マドリード・カスティージャの一員として、3部リーグを舞台に経験を積ませる青写真が描かれていた。しかし、トップチームに帯同した7月のキャンプやプレシーズンマッチで見せた久保のパフォーマンスに、予想をはるかに上回る評価が与えられた。