月額料金は安いものの番組数は貧弱
アップル(AAPL)は9月12日、新製品発表イベントの冒頭で新しいテレビ番組とビデオゲームの予告編を披露した。いずれも近くサービスを立ち上げる動画ストリーミングサービスApple TV+と、2019年3月に立ち上げたサブスクリプション型ゲームサービスApple Arcadeの一部となるコンテンツだ。
だが投資家にとって重要だったのは、月額4.99ドルと予想外に安かったApple TV+の価格である。アップルはさらに、新型iPhone(アイフォーン)、iPad(アイパッド)、Apple TV、Mac(マック)の購入者にはサービスを1年間無料にすることも発表した。
このニュースを受けて、動画ストリーミングサービスを手掛けるライバル企業の株価は急落した。投資家が、アップルのストリーミングへの肩入れの強さが競合相手にこれまでにないリスクを突き付けていると感じたためである。ネットフリックス(NFLX)の12日の終値は2.2%安、近くDisney+を立ち上げるウォルト・ディズニー(DIS)も2.2%安となった。
月額4.99ドルというApple TV+の価格は魅力的に見えるものの、提供される番組とサービスの数を考えるとそうでもない。同社のニュースリリースには立ち上げ時に9本の番組が提供されると書かれている。それで全部か、という筆者の質問に同社は答えなかった。だが、同社が他の番組を準備しているのであればその場で言及していたと考えるのが妥当である。
ラインアップの小ささを踏まえると、Apple TV+は実際には競争相手よりも割高だ。ネットフリックスは約5800本の番組と映画を揃え、料金はベーシックプランが月額8.99ドル、高精細プランが同12.99ドルだ。Disney+は初年度に約7500本のテレビ番組と500本を超える映画を揃える予定だ。