サウジ石油施設への攻撃、背後に潜む意図とはPhoto:Reuters

――筆者のジェラルド・F・サイブはWSJのチーフコメンテーター

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 外交は難しい作業だ。対照的に、外交を停止させるのは比較的容易だ。中東地域の強硬派はそれを知っており、その認識の下、これまで長年にわたり行動してきた。

 週末にサウジで起きた石油施設への攻撃の後でも、この経験則を頭に入れておくことが重要だ。今回の攻撃では、サウジの2つの石油施設が被害を受け、そのうち1つは世界で最も重要な原油処理施設だった。

 攻撃が誰の仕業なのかは依然分かっていない。イランの支援を受けているイエメンの反政府武装勢力「フーシ派」は、自らの犯行だと主張している。フーシ派は、イエメンの隣国であるサウジと激しい対立を続けている。しかし、 マイク・ポンペオ米国務長官は、直接イランに非難の矛先を向けている 。米当局者らは16日、さらに踏み込んで、イランの領土内からミサイルが発射されたことを示す情報があると語った。

 いずれにせよ、攻撃のタイミング自体に、大いに怪しむべき点がある。攻撃が行われたのは、まさにドナルド・トランプ米大統領が今月下旬の国連総会の場でのイラン大統領もしくは外相との外交交渉を可能にするため、厳しい対イラン経済制裁の若干の緩和を検討していた時だった。フランスも、まさにこうした若干の関係改善に向けて、精力的な働きかけを行っていた。

 しかし、突然始まった外交的動きを好ましく思わない勢力も多い。そのうち一部は、動き始めた外交プロセスを停止させるような危機を生み出すため、ミサイルを活用できる立場にある。恐らくこれが、週末の出来事の説明になると思われる。