小室 言い伝えって「村の掟」みたいに強固ですよね。

橋本 そう。しかも一子相伝のように伝わっているから、実は正式な規定よりもめちゃくちゃ権威があるんです(笑)。だから、ボトムアップだけではなかなか業務の削減が進まず、トップダウンでの取り組みが必要になるんです。

リスクを取り除けば
ムダな仕事は必ずなくなる

小室 毎月の資産運用関連の会議資料が、200ページにまで膨れ上がっていたという話もうかがいました。役員から一度質問が出ただけの項目にも、「あのときに質問されたから、こういう内容も追加しなければ……」とページが増えていくわけですね。

橋本 そうなんです。「この場で答えられなければ失格」みたいな厳しい会議をやるから、参考資料が100ページくらい必要になる。

小室 その資料を準備するために、ねずみ算式に色々な部署にデータの提供が求められるようになります。でも、会議の議論形式そのものを変更すれば、資料はそこまで必要なくなります。

橋本 まさにその通りで、だから「質問に即答できなかったら、後で調べて連絡すればいい」ということにしました。その結果、その資料は200ページから60ページにまで減りました。ボタンをちょっと付け替えるだけで、全体が大きく変わります。その判断をするのが経営者の役目です。

小室 働き方改革について危惧する経営者の方は、「そんなに時間を減らして成果が上がるのか」とおっしゃることが多いんですけれど、肝心なのは本質的な仕事に目を向けることです。本質的でない仕事に時間が取られていると、みんなが疲弊してしまう。ムダな作業で疲弊させて、実は本質的な仕事にパワーが割けないとしたら本末転倒です。