昨年11月のカルロス・ゴーン元会長の突然の逮捕以降、大激震に揺れる日産だが、ポストゴーンの西川社長までが退任した。

 実際は9月9日の同社取締役会で後継が決まっていない中での事実上の解任ということであり、西川氏の本音は「忸怩(じくじ)たる思い」であったであろう。

 ゴーン元会長の不正行為を強く非難し、ゴーン氏逮捕直後に会長と代表取締役を解任した西川社長が、皮肉にも「自身の報酬かさ上げ問題」で辞任に追い込まれたのだ。

 今年4月の日産臨時株主総会でゴーン元会長を取締役から解任し、ゴーン体制と決別した西川氏は「経営者としての私の責任は2つ。過去に起こったことへの責任と、将来に向けて果たすべき責務」と語った。

「2~3年で日産をもとの軌道に戻す」ことを大前提として、いずれ日産を後継に託すことにしていた西川氏がこのタイミングで「解任」されたのは、本人にとってまったく予期していなかったことであろう。

逮捕された
グレッグ・ケリー元代表取締役の告発

「かさ上げ報酬問題」とは、自社の株価があらかじめ決めた金額を上回る場合にその差額分を金銭で受け取れる権利「ストックアプリエーション・ライト(SAR)」を巡る不正のことだ。

 これはゴーン被告とともに逮捕されたグレッグ・ケリー元代表取締役が、月刊『文藝春秋』7月号で「西川に日産社長の資格はない」とのインタビューで、西川氏の株価連動型報酬不正受け取りを告発したのがきっかけだった。

 それは6年前の2013年にケリー被告が当時代表取締役副社長となった西川氏から役員報酬の増額を求められ、SARの権利行使日を1週間ずらすことで約4700万円上乗せされた金額を西川氏に支払ったというもので、日産は社内調査の結果、これを認定した。

 日産は、この西川氏の報酬不正受領が明るみに出たことで、3年ぶりとなる社債市場復帰を断念せざるを得ない状況になるなど波紋が広がってしまった。