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 金融政策は込み入った状況に直面しており、それは連邦公開市場委員会(FOMC)の投票にも及んでいるようだ。 18日のFOMCではフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を25ベーシスポイント(bp)引き下げ、1.75~2.00%とすることが決まったが、投票結果は賛成7、反対3に割れた。

 ジェローム・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は他の6人のFOMC投票メンバーの賛成を得て多数派を形成したが、両サイドからの反対意見に直面した。エスター・ジョージ、エリック・ローゼングレンの2人の地区連銀総裁は金利据え置きを、セントルイス地区連銀のジェームズ・ブラード総裁は50bpの利下げを求めた。3人のメンバーが反対するという状況は、合議制のFRBにおいては極めて異例であり、決定の背後の緊張状態を物語っている。

 これが米経済にとって、あるいは次のFOMCにとって何を意味するのか、われわれは確信を持っていない。1つだけ確かなのは、パウエル氏がFRB内の派閥、ドナルド・トランプ大統領からの政治的圧力、そして米経済の強さとリスクを示す矛盾する兆候などの間でバランスを取っているように見えるということだ。

 FOMC声明は前回からほとんど変わらず、経済の「不確実性」に対するヘッジとしての利下げを正当化するものだった。声明はトランプ氏の場当たり的な貿易政策には言及しなかったが、それを意味していることは誰の目にも明らかだ。

 トランプ氏は利下げをしたパウエル氏に再び意地悪なツイートを発した。「ジェイ・パウエルとFRBはまたしくじった。『ガッツ』もセンスもビジョンもない! ひどいコミュニケーターだ!」。パウエル氏を議長に任命したのがトランプ氏自身であること思い出させても無駄だ。

 パウエル議長は素晴らしいコミュニケーターではないが、経済的な証拠を考慮すると、より大幅な利下げを支持する説得力ある根拠はほとんどない。失業率は歴史的な低水準にあり、個人消費は堅調だ。最近の経済面の兆候は若干改善している。

 FOMCメンバーは、政策運営に関する経済見通しで米経済について同様の認識を示し、今年の国内総生産(GDP)伸び率予想を6月時点の2.1%から2.2%に引き上げた。FRB内にリセッション(景気後退)の見通しはない。

 金融政策上の大きな問題は貿易面にある。関税をめぐる不確実性は米国の輸出品に対する世界的な需要、そして米企業の投資を阻害している。しかし、貿易の不確実性は利下げによって改善されるはずはなく、その不確実性はFRBの責任でもない。貿易の不確実性はその始まりとなった大統領執務室によって改善されなければならない。

 少なくともFRBは突っ込み過ぎるようなリスクは冒していない。このことは、景気判断材料の変化に応じて政策の調整が可能なことを意味する。ただ、もしFRBが自分たちにより自信を持てれば、景気信頼感にとって手助けになると思われる。

(The Wall Street Journal/The Editorial Board)