イランは7月に拿捕(だほ)した英船籍の石油タンカーを解放すると表明した。サウジアラビア石油施設への攻撃を巡って厳しい追及を受ける見通しの国連総会を前に、英国との対立解消に動いた。イラン軍は英船籍の「ステナ・インペロ号」が中東の石油輸送の要衝ホルムズ海峡を航行中に国際ルールを破ったとして拿捕していた。その2週間前には英領ジブラルタル海峡で自国のタンカーが拿捕されたため、英国に報復する構えをちらつかせていた。英当局は拿捕したイランの「アドリアン・ダルヤ1号」がシリアに原油を輸送しようとしたのは欧州連合(EU)の制裁に違反していると主張。イランは否定したが、自国のタンカーが目的地に到着することをステナ・インペロ号解放の条件にした。米英当局によれば、アドリアン・ダルヤ1号は結局シリアに原油を輸送した。イラン政府は原油をサードパーティーに販売したとしているが、詳細は明かしていない。