セブンが加盟店へ契約更新前に、仕入れを減らすなと「提案」した文書の存在金額を列記した文書で在庫増やせと“提案”。加盟店は逆らえない Photo:Diamond

 文書では、過去数カ月間の月中と月末の在庫金額の差を列挙した上で、在庫金額を減らした月末は店頭に並ぶ商品が減り、「お客様に『品揃えが悪い店』というイメージを与えてしまうことも懸念されます」と指摘。一定の種類や量をそろえ、品不足を防ぐのは、「加盟店契約第24条にも定められておりますオーナー様の義務であります」と踏み込んだ内容で、“提案”というよりも、もはや“圧力”に近い書きぶりである。

 一体どういうことか。これは、コンビニの会計システムに由来する。オーナーは、毎月の最終的な店の利益をいったん、「オープンアカウント」と呼ばれる会計システムに預ける。その上で、たまった利益の一部を毎月「月次追加送金」として受け取り、生活費とする仕組みになっている。

 ところが、月末の在庫金額が多ければ月次追加送金が少なくなり、逆に在庫金額が少なければ月次追加送金が増える仕組みになっているのだという。そのため、余裕のないオーナーは月末の在庫を絞ることが多い。

 一方で、本部側は、常に商品が豊富な売り場を実現するため「集客につなげ、売り上げをアップさせましょう!」と加盟店を鼓舞する。

売れ残り分の大半は加盟店のコスト
大量に仕入れさせても懐が痛まない本部

 とはいえ、下図のように粗利を算出する際に、原価から売れ残り分を差し引くというコンビニ会計の特殊性を踏まえれば、実際に売れた商品が少なくても本部は粗利を確実に得られる半面、売れ残り分の原価は加盟店のコストとなる。本部が補助する仕組みもあるが、その割合はわずかだ。