加盟店が仕入れを絞るや否や、本部が厳しく“指導”する傾向は、特にSEJにおいて顕著だといわれている。とりわけ、当時の伊藤さんのように、契約更新の時期を間近に控えていれば、「本部の心証を悪くしたくないという加盟店側の心理が働き、逆らいづらい」と複数のセブンの現役オーナーが本誌の取材に語っている。

 ただし、両者のやりとりは口頭で行われることがほとんどだという。そのため、「在庫を増やすよう強く求める文書が存在することは異例だ」と、ある公正取引委員会の関係者は指摘する。

 商品や資金の流れを本部に厳しく監視され、売れ残りは自らの負担になる。そこに人手不足という問題が降り掛かり、コンビニオーナーはまさに「三重苦」に苛まれているといえるだろう。立地や商圏に恵まれない限り、こうした苦しみと無縁ではいられない。

 公取以外にも、経済産業省が専門家を集めた会議「新たなコンビニのあり方検討会」を設置して議論するなど、政府はコンビニをめぐる一連の問題への関心を高めている。参加している専門家からは、本部が加盟店から吸い上げるロイヤリティーの比率を引き下げ、利益配分のあり方を見直すべきだとの意見が相次いでいる状況だ。

 また、会議が各地で実施した加盟店オーナーからのヒアリングでは、オーナーたちから上記の商品仕入れやロイヤリティーの問題以外にも、本部との関係が対等とは程遠いと思わせる事例が続々と訴えられている。なお、ヒアリング結果は同省ホームページに掲載されている。(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/new_cvs/index.html

 このように、今や多くの国民がコンビニの利便性の裏側の事情を知るに至った。小売りの優等生とほめたたえられてきたコンビニ業界は‟我が世の春“を終え、ようやく現実と向き合う時が来たといえる。

訂正 記事初出時より、以下のように修正しました。6段落目、7段落目:月次引出金→月次追加送金。(2019年9月26日18:00、ダイヤモンド編集部)