「ドパミンは脳内の“快楽物質”あるいは“脳内麻薬”ともいわれ、活性化すると強い快感や多幸感を得られます。このドパミンは、恋愛感情が芽生えると放出される物質としても知られています。つまり、恋愛は脳内のドパミンを活性化させて、爆発的な高揚感、満足感を生むのです。ただし問題は、ドパミンは減退までの時間が早く、高揚感が長く続かないことです」

 ドパミンの効果は短期的なため、たとえ一度恋愛をしても満足は長く続きにくい。すると「もっと上のものを求める耐性」や「切らしたくない退薬」を求めて、次の恋愛へ、また次の恋愛へとなることがある。

長期的な関係を築けない
ドパミンに頼りだすと…

 ちなみに、恋愛感情が生まれるとドパミンが活性化するが、長期的な人間関係を築き、信頼の感情が生まれるとオキシトシンというホルモンやミラーニューロン系という別のシステムが活性化して、「共感」に基づく持続的な人間関係を構築する。

「誰かと恋愛し、その人と長期的な関係を築けば、ドパミンが減退してもオキシトシンなどのホルモンが分泌されて、安定した人間関係が作られます。しかし、人間関係の構築が苦手な方や、自己評価の低い方は、長期の関係構築をうまくできません。その結果、恋愛感情(=ドパミン中心)に頼ってしまう傾向があります」

 実は、ギャンブル依存症や窃盗癖、暴力行為などについても、その行為から得られる快感、ドパミンの活性化を求めて依存状態に陥ると考えられている。やはりここでも、恋愛依存と他の依存の共通部分は多い。

「『恋愛依存症』の相談で外来を訪れる方はあまりいません。周囲からは“単なる不倫”や“浮気者”と見られてしまうためです。むしろ、他の依存症との併発で見つかることが多いですね。その併発の裏には、『依存症』に共通にみられる、『どうしようもないさびしさ』の感覚があるのです」

 なお、恋愛依存と聞くと、同時にセックス依存症を想起する人も多いのではないだろうか。セックス依存症も、ドパミンによる快感を求めている点は共通している。しかし、恋愛依存とセックス依存症は「別の概念」だという。

「セックス依存症は、あくまでセックスという行為から得られる快感に依存している状態。男性に多く、『行為嗜癖』に分類されます。恋愛依存は、複数の相手との電話やメール、デートや会話といった行為が主体。女性に多く『人間関係嗜癖』に分類されます」