「いっそ経営統合を」と、
フランス政府が考える理由

 従来、日本政府が企業の資本提携に関与した例としては、ルノーと日産が提携するときに日産の防衛宇宙部門を切り離してNECなどに事業売却した件や、米・GMが富士重工(当時)の株をすべて放出するときにその買い取りをトヨタに打診した件などがある。防衛機密の漏洩を防ぐための関与であり、自民党もこれにかかわった。

イラスト
イラスト:安田雅章

 しかし、現在のルノー、日産、三菱自動車の関係は「国が関与すべき性格の問題ではない」というのが日本政府の見解だ。一方、フランス政府はルノーに19.74%(2017年現在)を出資する筆頭株主であり、株主権利の行使として日産に経営統合を求めている。日産はルノーに15%を出資しているが、議決権はない。

 ただ、両国政府の担当大臣同士が協議したとしても実務は民間企業の主導で、日本政府は企業を指導する立場にはない。実際の技術開発面での協力体制をどう構築するかは民間企業ベースの話だ。

 フランスは、オランド前大統領がとってきたドイツ追従路線が批判された結果、マクロン政権が誕生した。自動車分野においてはルノーとプジョー・シトロエン・グループを擁し、欧州でドイツに次ぐ勢力を持つ。だが、サプライヤーとエンジニアリング会社はドイツに圧倒されている。ロバート・ボッシュ、ZF、コンチネンタル、シェフラー、ティッセンクルップいうメガサプライヤーを持つドイツに対し、フランスで対抗できる企業はフォルシア・グループだけだ。

 ルノーにとって、日産と三菱自動車は“金のなる木”だ。ルノーが日産に出資した金額は、アライアンス誕生から3年で取り戻した。その後の15年間は、日産の利益がルノーの業績を押し上げた。とくに北米での日産の利益は重要だった。「いっそ経営統合を」と、フランス政府が考える理由はここにある。

CAR and Driverロゴ

(報告/牧野茂雄、まとめ/CAR and DRIVER編集部)