例えば、ラーメンを見て「これは大体○○カロリーだから―」とは考えない。「色が毒々しいからこれは毒だ」「うまそうなにおいがするから、食ったらメンタル面でも健康になるだろう」など、裁定が全てGさんの勝手な主観なのである。客観性を示してくれる数値はGさんにとってなんの意味もなさない。

 アラフォーと呼ばれる前までGさんはファストフードを利用しまくっていたが、何かを境に健康志向に目覚め、ピタリと食べなくなった。今では周りからうるさいと思われるほど健康について熱く諭してくるが、論拠が“Gさんの気分”だから説得力はほぼなく、代わりに愛嬌(あいきょう)があった。

「(ファストフードは)あれは毒。食品添加物とかやばいでしょう。年も年なんだから、食べるものは考えて選ばないと」(Gさん)

 そんなGさんは仕事の都合で外食することが多い。家で食べることがあっても家族と生活しているサイクルが違うので、外で何かを買ってきて、になる。Gさんは今セブン-イレブン信者になっていて、毎日3食をほぼそこでまかなっているようである。

「セブン-イレブンは神だよ。なんでもおいしいし、どんなものでも食べられるし、どこにでもある」

 コンビニの食べ物も食品添加物が入っているのでは?と尋ねてみると、

「そうかもしれないけど、コンビニは陳列されている食べ物の種類が豊富で色が鮮やかだからね。添加物を摂取したとしても、同時に栄養もおんなじくらい摂取できている。ファストフードとは雲泥の差でしょう」

 と、相変わらずの独特な理論を披露してくれた。Gさんが健康志向になったきっかけについては、

「紳士の最低限の嗜(たしな)み、かな」

 どうやら健康志向も得意の「気分」で獲得されたもののようである。