ステップ2:「世界のプロ」を目指す、もしくは強者連合をつくる

 ステップ1を実践し、日本の中でライバルがいなくなったら、次は「世界のプロ」を目指してみてください。世界を目指すというと、まるでオリンピックにでも出場するかのような大層なことを想像するかもしれませんが、そんなことはありません。

 おそらく、仕事を極めた人にとって「世界を目指す」とは、自分以上にうまい人ややり方を探し、さらに自身を向上させる旅のようなものであるはずです。この好奇心(他国の文化、価値観に興味を示せること)が、世界のプロになるための一番重要な要素であると私は考えます。その証拠に、グローバルな環境で成功している同僚やクライアントを見ていると、みな好奇心旺盛で積極的に活動している人たちばかりです。

 それともうひとつ、「日本のプロ」から「世界のプロ」になるには、最低限の英語は必要です。シンガポールにいてつねに感じるのは、「英語が上手か下手かは関係ない、下手でもいいから自分の言葉でメッセージを発する人は、外国人からの信頼を得る」ということです。

 相手だって人間なのですから、こちらが自分自身の言葉で話せば、おのずと相手にも気持ちが伝わるものなのです。ですから、英語は道具と割り切って、最低限は話せるように努力してください。

 次に、「世界のプロ」と「日本のプロ」がタッグを組む第4のキャリアパス、「強者連合」。ここで重要なのは、自分の強み・弱みをよく認識すること。そして、それを補完するパートナーを見つけることです。

 「強者連合」を組む場合、どちらか片方が依存しっぱなしという関係では成功しません。お互いにないものを補い合ってこそ、「連合」が効いてくるのですから。

 日本からシンガポールにやってくる駐在員の中には、現地パートナーやローカル社員ができないと愚痴を言ってばかりの人がいます。しかし彼らの話をよく聞いてみると、たいていは自分の価値観を一方的に相手に押しつけ、結果として相手に受け入れられなくなってしまっているケースばかりであることに気づきます。これではいけません。

 「連合」を組む場合は、必ず「ギブ・アンド・テイク」の精神を持って、まずはじめに自分が相手に与えるようにしなければなりません。