10-12月期は、米中貿易戦争の帰趨、主要国・地域の金融緩和の持続性などが、主要通貨にとって重要テーマとなる(写真はイメージです) Photo:PIXTA

米中貿易戦争の帰趨
次の山場は12月15日

 米国と中国は、10月10・11日開催の閣僚級通商協議で部分的な暫定合意に達し、合意文書は11月16・17日のチリ・サンチアゴにおけるAPEC首脳会議までに作成される見通しとなっている。この結果、10月15日に延期されていた米国の対中追加関税第1~3弾(2500億ドル相当)の関税率引き上げ(25%→30%)は、当面見送りとなった。

 ただし今回の合意はあくまで部分的なもので、今回合意したとされる農業、為替問題以外の産業補助金、技術移転強制といった合意がより困難な問題は残ったまま。トランプ大統領は今回の合意を「第一段階」とし、すぐに第二段階に入ると述べた。12月15日には延期されていた対中追加関税第4弾の一部(1600億ドル相当)の発動が予定されており、11月末から12月前半にかけて、米中は再び協議入りすることになるだろう。

年内の米中貿易協議は現状維持
最終的には対中関税引き下げも

 米中貿易戦争でのベストシナリオは、年内に最終合意に至り、米国によるこれまでの対中追加関税の一部が引き下げられる展開だ。この場合、人民元と共に豪ドルやニュージーランド(NZ)ドルが最も上昇しやすく、ドル円もリスク回避の円高圧力の後退から上昇するだろう。

 一方、ワーストシナリオは、協議が決裂して再開のめどが立たず、米国が12月15日の対中追加関税を予定通り発動する、あるいは対中関税をさらに引き上げる展開だ。この場合、人民元と共に豪ドルやNZドルが下落しやすく、米金利が低下し米株価が下落する中で、リスク回避の円高圧力が強まり、ドル円は下落しよう。

 現実的なシナリオは、両者の中間で、年内の協議では決裂はしないけれども、最終合意にも至らないケースだ。この場合、協議は2020年に持ち越しとなり、協議中は追加関税が保留となる。市場はこのシナリオを織り込みつつある模様で、最終合意期待が人民元、豪ドル、ドル円を下支えするだろう。

 筆者は、トランプ大統領が20年11月の次期大統領選での再選に向けて、米国の株価と景気を押し上げようとし、最終的には対中関税を引き下げるとみている。財政出動は、野党民主党が下院で過半数を占めているため難しい。金融政策では、米連邦準備理事会(FRB)がトランプ大統領の要求するペースで利下げをするとは限らない。為替政策では、ドル売り介入が実務的に規模が非常に限られている。結局、トランプ大統領が取れる経済政策オプションは、自身がこれまで引き上げてきた対中関税の引き下げくらいしか残されていない。