コペンハーゲンで地球温暖化対策を話し合うために7日から始まった「COP15」(第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議)が波乱含みの展開をみせている。
英紙がホームページで報じた「政治合意」(コペンハーゲン合意)の原案が従来と違い、途上国にも温室効果ガスの排出抑制を迫る内容であり、途上国と先進国の対立に拍車をかける格好となったからである。
その一方で、米国と中国の2大排出国を始め諸外国は相変わらず、十分な削減目標を打ち出そうとしない。
早々と野心的な目標を打ち出してしまった鳩山由紀夫内閣が国益を守れるのか。来週の担当閣僚会合や首脳会合に続く12日間のマラソン会議をしっかりと見守っていく必要がありそうだ。
先進国は2050年までに
1990年比で80%削減
会議が2日目を迎えた12月8日、COP15はいきなり紛糾した。英ガーディアンが同紙のホームページ上で「コペンハーゲン合意」の原案をスクープしたからだ。その内容に対して、数の上で圧倒的な多数を誇る途上国グループが強い不満を表明する騒ぎになった。
ガーディアンの解説記事によると、この原案は「デンマーク案」と呼ばれる。その名の通り、今回のCOP15の議長国であるデンマークが作成したものだ。デンマークは内々に米国、英国の2ヵ国と事前に協議してまとめたという。
内容は、「世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて2度以内に抑えるため、すべての国が『共通だが差異のある責任原則を表明する』」との基本方針を掲げたのが特色だ。その実現のため、具体策として、世界全体の排出削減目標が設けられる形となっており、「温暖化ガスの排出量を2050年までに1990年比で50%削減する」ことや、「2020年までに世界の排出量を増加から減少に転じさせる」ことを盛り込んでいる。特に、先進国については、2050年までに「1990年比で80%削減する」と明記した。
このほか、原案によると、コペンハーゲン合意は「政治合意」と位置づけられていた。これは、各国の国別目標を京都議定書のような国際条約として国際的に公約させるのではなくて、あくまでも各国の国内的な目標と位置づけるという意味を持つ。残り少ない交渉期間で条約化は困難なので、今回は政治合意としておき、いずれ拘束力のある新議定書を締結するというのである。