帝国ホテルが目指すのは
スモールラグジュアリー
ホテルの種類は大まかに分けると、ビジネスホテルなどの「宿泊特化型ホテル」(宿泊費が1泊数千円から1万円程度)、結婚式場などの機能がある「シティホテル」(1万円程度から数万円)、部屋が広く最高級の「ラグジュアリーホテル」(数万円から10万円以上)がある。
帝国ホテルの広報担当者によれば、京都では「スモールラグジュアリー」路線を計画しているという。小規模かつ最高級のホテルで、富裕層が主なターゲットだ。
そのため、客層は国内資本のシティホテルとバッティングすることは少ないだろう。
むしろ、高級路線のザ・リッツ・カールトン、フォーシーズンズといった外資系ホテルとの間で競合が起こりそうだ。
また最近では、スモールラグジュアリーを掲げるホテルが京都市内に次々進出している。こうしたところとも客層がバッティングすると見られる。
ホテル投資が活発化
1万2000室が「供給過剰」
「ホテル投資の観点から見れば、間違いなく日本最強の地」とホテル開発関係者が評する京都では今、さまざまな事業者が参入している。
例えば、すでに三井不動産や森トラストなどの東京の大手デベロッパーがすでにホテル投資に乗り出している。
さらに、1990年代のバブル崩壊以来、約30年間も塩漬けになっていた京都駅前の土地で、「ドーミーイン」ブランドの共立メンテナンスが2020年予定でホテルを建てるなど、ニーズの高まりを背景に再び投資が始まった場所もある。
他にも、金融商品としてのホテル売買も活発化している。例えば、東証二部上場の不動産金融のウェルス・マネジメント(東京都港区)は昨年、連結子会社が組成した特別目的会社を通じて、創業約60年の「ホテルりょうぜん」(京都市東山区)を買収した。
こうしたホテル投資の魅力を裏付けるのが宿泊者数の増加だ。京都市の調査によれば、18年は過去最高の1582万人に上った。そんな中、宿泊費を安く抑えて京都観光を楽しみたいという客層を吸収する宿泊特化型が相次いで建設された。
しかし、不動産サービス大手CBRE(東京)によれば、京都では2021年に約1万2000室が「供給過剰」になるという予測もある。
今は宿泊特化型の建設が多いとはいえ、不動産投資という点でラグジュアリーホテルの建設も今後さらに増えてくるだろう。
帝国ホテルは経営戦略について、「これから検討する」(帝国ホテル広報担当者)という。後発ホテルとして、競合に敗れない戦略をどう立てるのかが注目される。