常務の行動は
何が問題だったのか

 今回のケースは労務管理上、どのような問題があったのか。

 社員を怒鳴ったり、暴言を吐いたりするのは当然許されないことだが、それ以外にも下記の4つが問題となるだろう。

(1) 台風の日に早退を認めない

「台風の際に従業員を帰宅させなくてはいけない」という法的な決まりはなく、各社の判断による。だが、万が一、暴風雨の中を通勤させ、途中で従業員がけがをした場合は、企業の安全配慮義務違反を問われる可能性がある。

(2)業務命令の研修費用を従業員に支払わせる

 教育訓練の費用について、特に法的に定めはないが、業務命令であれば会社が負担するのが当然の措置であろう。逆に任意の参加であれば、従業員に負担させることは構わない。

(3)業務命令の研修なのに欠勤扱い

 そもそも「業務命令」なので、出勤扱いとなり、欠勤にはならない。

(4)親のけがによる欠勤を認めない

 正当な理由のない欠勤については、「労務提供義務不履行」として拒否することは可能と考えられる。しかし、今回のケースでは、「同居の母の骨折」であるから、1日程度の欠勤は社会通念上も認めるべきだろう。

 法律的な決まりのないことは、会社も判断に迷うケースはあるだろう。しかし、世間的な常識に照らし合わせ、従業員が働きやすい環境づくりをしていくことが重要である。

※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため社名や個人名は全て仮名とし、一部に脚色を施しています。