保険料支払額よりも
給付される保険金は大抵少ない

 また、こんなデータもある。公益財団法人「生命保険文化センター」が今年9月に公表した「生活保障に関する調査」によれば、入院時の自己負担額の平均は20万8000円となっている。仮に民間医療保険に加入して、月に5000円程度の医療保険料を10年間払い続けたとすれば、60万円を払い込んだことになる。前述の20万8000円を全部保険金で賄ったとしても、払い込んだ保険料の方が3倍近くも多い金額となる。ところが、保険料として払い込んだお金のことは記憶が薄れてしまっているため、給付される保険金はとてもありがたいけれど、自分の貯金を取り崩すのは損だ、という気持ちになってしまうのだ。

 同じ「生命保険文化センター」の調査では、過去5年間の自分自身のケガや病気による「入院経験あり」の割合は13.7%となっている。実際に保険金が支払われる確率は1割あまりしかないことがわかる。仮に自分がその13.7%に入ったとしても、長年にわたって払い込む民間医療保険の保険料を上回るような保険金が給付されることはまずまれだろう。だとすれば、医療保険には入らず、その保険料に相当する部分を貯金しておいて、そこから下ろせばいいだけのことだ。

 人間は知らず知らずのうちに、不合理な行動をすることで損をしているというケースがよくあるのだが、特に保険のように長期にわたって払い込む性格のものは、積もり積もって大きな金額になるため、気を付ける必要がある。自分にとって必要かどうか、果たして損にならないのかどうかを、しっかりと考えておくべきだろう。