HONZのファンなら、全てどこかで聞いたことのある話だ。でも、なかなかできない。いや、他人の話ではなく、再び私自身のつぶやき。時短術のビジネス書を100冊読んでも、ぜんぜん進歩しない。なぜだろう?

 それは元来、人間は時間をたっぷりとかけて仕事をするように設計されているからだ。それなのに産業革命以降の、もっと言えばインターネット革命以後の我々は、時間をかけずに仕事をこなすことを強いられてきた。土台それは無理なんだよね。

人間は変化することがキライ
最小限の変化に済ませることが、時短の秘密

 人間は変化することがキライだ。できたら今のままでいたい。誰しもラクな人生を望む。ぬるま湯の会社(組織)はみんなの理想だ。しかし、現代資本主義は「キライな」時短を要求してくる。

 そこを著者はちゃんと押さえている。「自分の行動はなかなか変えられません。(中略)変化すると言うことは、通ったことのない暗い道を進むのと同じです。(中略)そういう生き物に設計されているので、変化をしないことを好むのが当然なのです」(121-122ページ)。

 とすれば人生、最小限の変化に済ませることが、時短の秘密なのである。そして、そのテクニックは見事に本書に網羅されている。読者に「ピン!」とくる項目だけ「最低限」、身につければ良い。

 全部を身につけようなんて、まさに「ムダな仕事」以外の何ものでもない。できるだけ多く吸収しようとすること自体、ムダへの第一歩だ。

 という私は、「メールチェックは1.5時間に一回」「メールを見ない時間を決めること」(52ページ)だけ守ろうと決心した(それ自体ホントはむずかしいが)。

 ここで、私の「時短術」と比べてみよう。私もビジネス書は大好きで、ゴマンと読むだけではなく、自分でも書き始めた。屋上屋(おくじょうおく)を架す。そんなことは無視して、教室にあふれる迷える京大生をはじめとして、ビジネスパーソンに「時間の戦略」を伝えたい。