1枚は、米国気象衛星が撮った台風19号の巨大な渦巻きの写真。その写真に付随していた台風の勢力についての文言が強力だった。「地球史上最大級か?」「アメリカの専門家らは、“存在しない6級に相当する”とのコメント」…等々。もう1枚は、日本のある夕刊紙のトップ面に掲載されていた見出しの写真であり、「最強台風 東京死者8000人予測」との文字だった。

 ユーザー数約2億5000万人を持つ中国版ツイッター「新浪微博(ウェイボー)」には、影響力のある在日中国人がそれらを伝えたこともあり、中国でこの台風は「8000人の死者が出る!」と火をつけたかのように情報が一気に広がって注目を集めた。

 加えて、関西に住む中国人らは、昨年、関西を襲った大型台風で自宅や周辺が受けた被害を写真で公開して自らの経験を語った。

昨年の関西の台風よりも
大きな被害予想に恐怖

 記憶に新しい人も多いと思うが、昨年の台風では、強風で流されたタンカーが関西国際空港と対岸を結ぶ連絡橋に衝突して、関西国際空港が閉鎖になった。その様子は中国でも大きく報じられたため、その被害の大きさを知る人は多い。

 台風19号は、この台風以上の強大な台風であり、さらに大きな被害が予想されていたため、恐怖を感じ、日本在住の知人、友人、家族らを案じる中国人が多かったのだ。

 さらに、日本在住の中国人らがSNSを通じて、台風の前夜の日本を「生中継」、中国に動画や写真を送った。

 コンビニに並ぶ長蛇の列、空っぽとなったスーパーの棚、戦時中のようにガラスの飛散防止の養生テープが張られた窓、何回も開かれていた気象庁の会見や台風のニュースのテレビ映像など…。

 そのほか、日本のマスコミが予測した「東京23区の3割が浸水」「関西も暴雨に覆われる」「12日の交通機関は全面運転停止」「空の便が欠航」「外出するのは自殺行為だ」……等々の情報が中国語に翻訳されて、SNSで次々と拡散された。

中国の中央気象台と
ネット民が「日本の台風」のことで口論

 中国で、こうした日本発の台風情報が拡散されたためか、日本の気象庁に相当する中国の「中央気象台」がSNS上で異議を唱えたほどだった。「今回の台風の報道は過熱だ。史上最大級というのは正確ではない、正しい認識が必要だ。あおるような報道に惑わされないように、パニックに陥る必要はありません」と指摘した。