1つは「国民の義務」を果たさない輩(やから)を放置することは、真面目な納税者に対する裏切りだという責任感だ。

 もう1つは、国税の職員はプライドが高い。どういうことかというと、20~30年前まで国税には、地方の進学校で成績優秀だったのに実家が貧乏だったため大学に行けなかった職員が結構いた。

 30~40年前には旧帝大に合格する学力があったのに、進学できなかった人もいたと聞く。

 そうした方々のコンプレックスは「人生・世の中をなめた奴(やつ)は許さねぇ」という意識につながっていたことだ。こうした傾向は今でも引き継がれているようだ。

 今回の税務調査を担当したのは東京国税局課税第1部だろう。政治家や資産家、著名人などの個人を担当する部署で、実施部隊の資料調査第1課~4課のいずれかとみられる。

 国税というと一般的にマルサ(査察部)をイメージされるが、内部ではリョウチョウ(資料調査各課の俗称)と呼ばれ、精鋭部隊として知られる。

 実はリョウチョウが税務調査で多額の所得隠しを発見し、査察部に通告。マルサが強制調査で検察庁に告発し、脱税として刑事事件になることも珍しくない。

 徳井さんは、前述のプライド高き国税職員を怒らせたわけだ。

 2回のチャンスをもらったのに、みすみすスルーすることで「活動自粛」という大きな痛手を負った徳井さん。

 国民の義務、その義務をつかさどるプライド高き組織をなめ切った代償は、ごまかそうとした税金よりはるかに高くなってしまったようだ。