なぜ言い訳ばかりで片づけないのか
プロは「片づけない言い訳」を積極的に聞く
「今、片づけようと思っていた」
「そんなに気になるなら代わりに片づけてくれればいいのに」
「このくらい、置いたままでもいいじゃない」
片づいていない状態を見かねて指摘するたび、配偶者にそんな言い訳をされる。無責任を上塗りするような態度に毎度イライラさせられてしまう――。そういう経験をされている方も多いことと思います。
片づけの原理・原則は「それぞれが使った後は元の場所に戻す」という至ってシンプルなものなのに、実行できないご家庭が多いのはなぜなのでしょうか? それはひとえに「自分に合わない片づけの方法が、強制的にルール化されている」からだと言えます。
ルールが自分に合わないと、人は感情的になって抵抗したり、できない理由を並べて弁解したり、言い訳したりするばかりで一向に行動を変えません。そのため、夫婦間、家族間の片づけ問題は泥沼化することが少なくありません。
整理収納の仕事でご家庭を訪問する場合、依頼者の家族にとって私は他人なので、幸いにも私自身が感情的なやりとりに直接巻き込まれることはほとんどありません。
ただ、そういった素直な反応ほど問題解決の大きなヒントになるため、その場にいない人が日頃片づけに関してどんな反応や言い訳をしているのかを、むしろ積極的にヒアリングしています。
そこで今回は、私自身が現場で「片づけられない言い訳」をどう解釈・分析し、どのような片づけ方を提案しているのかご紹介します。なかなか片づけないご家族の行動を変える新しいアプローチ法として、参考になれば幸いです。
片づかない言い訳の分析(1)
「感情」と「事情」を切り分けて話を聞く
「気になるなら、そのくらい片づけてくれてもいいじゃない!」
「絶対に捨てないからね!」
「どうしてそこまでやらなきゃダメなの?」
大抵の場合、片づけられない人は片づけられない理由をはっきりと説明できません。ですから、片づけのルールが守れていない事実を指摘されたとき、身近な相手には感情的になって反抗します。こういう反応が見られるなら、まず「片づけルールのミスマッチが起こっているな」と解釈します。