依存症の手前段階、
“プレアルコホリック”とは?

 恐ろしいのは、無自覚にアルコールにハマったり、トラブルを起こしたりしてしまうことだろう。厚生労働省の調査によれば、アルコール依存症の治療を受けているのは5万人に満たない。だが患者数は、推計107万人に及ぶ。さらに、その水面下にはアルコール依存症の手前の段階、“プレアルコホリック”の人々もいるという。

 プレアルコホリックは「何らかのアルコール関連の問題がある」「連続飲酒をしたことがない」「離脱症状を経験したことがない」の3つの条件を満たす場合に当てはまる。かなりの人が該当することになりそうだが、アルコール依存症の専門外来では治療プログラムも始まっているなど近年、注目される疾患である。

 さてここまで読んで、いかがだっただろうか。自分はあくまで「健全派」なのか、「自らを抑制できる酒豪」なのか、「明らかにどっぷりアルコール依存症」なのか、それとも「プレアルコホリック」か――。

 もしも「お酒の問題を抱えている」と感じるようなら、早めに手を打とう。治療の第一歩となるのは「自分の行動を変えよう」という気持ちだ、と梅野氏。

 参考にしたい理論がアメリカの心理学者、プロチャスカとディクレメンテが提唱した「行動変容ステージモデル」だ。ステージは5つ。問題があると思っていない「無関心期」、問題を感じ始めた「関心期」、情報を集め、問題解決の準備を始めた「準備期」、本格的に治療に取り組む「実行期」、達成した変化を維持する「維持期」。再発が起これば、前の段階に戻って再び行動変容に取り組む。
 
「5つのステージをぐるぐる回りながら、人は徐々に変容していきます。失敗してもまたチャレンジすればいい。まず、“自分は大丈夫”という否認の状態を抜け出しましょう。“このままじゃマズイ”と自覚し、自分を変えたいと思うことが大切。ダイエットと同じですよ」

 最近はいきなり断酒するのではく、段階的に“減酒”にチャレンジする治療も行われるようになった。その詳細は次回(11月20日〈水〉更新予定)、お伝えしたい。

『チェンジング・フォー・グッド』(法研),2005